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ぷいとそっぽを向いてしまった彼女に、
僕は自分の掌をじっと見てみる。
成長しきった身体。
僕は自分でも気づかない間に、
随分と大人になってしまった。
「そんなに大人が信用できない?」
僕が呟いた一言に、
風香ちゃんの目が見開かれるのが分かった。
がばっと起き上がった彼女の眼は
鋭く僕を睨み据える。
「てめぇ」
「風太君に聞いた。
親戚筋の人で君らに支援してくれる人はいないんだって?
家に張り込んでた刑事さんは
それも心配しているそうじゃないか」
「!
あのジジイ、やっぱり張り込んでやがったのか」
「それも予想してたから
僕を使いにやったんだな?」
僕の言葉にガシガシと頭をかいた後、
風香ちゃんは乱暴に寝転がった。
「そうだよ。
見放されてる理由はお前なら大体予想つくだろ?」
僕の方を見ずに彼女は問いかける。
僕は頷いた。
これまでの彼女の行動を見ていれば分かった。
だって、僕は一番にそれを恐れて生きてきた。
「その力の事で……だろう?」
風香ちゃんの背中が無言の肯定を示していた。
「信じられるか?
あの野郎共、こう言ったんだぜ。
『化け物の世話なんて誰が見るか!』」
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