一番:追われる彼女と巻き込まれた彼氏

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植物と言っても 今の日本でそれが何なのかを知る術はない。 図鑑にもインターネットにもその姿は載っていなかった。 呼ぶ時に不便なので 今生えたこの子は『カズラ』と呼んでいる。 ちなみに特徴は感情が高ぶると強酸を振りまく事。 二、三度ジャンパーを熔かされた。 彼、または彼女達は気まぐれに僕の背中に現れて、 来た時と同じく唐突に消えていく。 物心ついた頃からそうだった。 何故こうなのかはよく分からない、 とにかくこれが僕だけの特別な事だと知った時、 まず初めに思ったのが 『隠さなきゃ!』 だったからだ。 今にして思えば背中に植物が生えるという派手な事態だ、 少なくとも両親にはバレバレだったのではないだろうか。 それでも僕は隠さずにはいられなかった。 両親が何も言ってこないのは、 そんな僕の必死な思いを気遣っているからかもしれない。 知られればこれまでのような生活は送れなくなる事を 僕は本能的に知っていた。 この年で見放されたら僕は死んでしまう、 だから一人で生活できるようになるまで 隠しておかなきゃと。 力を隠しつつ調べる方法なんて僕には思いつかなかった。 .
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