623人が本棚に入れています
本棚に追加
「次は私ね。アンタ、家族はいる?」
「……いません。次は俺です。俺を家に置いておくと、必ず後悔しますよ?それでも良いんですね?」
「良いわよ。今のアンタには、必要なモノがあるのよ。……私からの質問はもう無い。アンタからは?ある?」
体の後ろで両手をつき、リラックスした体勢になった。
「俺に必要なモノってなんですか?」
「今教えたら、意味ないじゃない。」
「そうですか。じゃぁ、俺は身元不明で、何かしらやらかしたかもしれない。なのに、なんで優しくしてくれるんですか!?」
反対に、葵はテーブルに手をつき、身を乗り出した。
「葵は似てるの。」
「似てる?」
「そう。昔の私と、同じ顔をしてる。」
「昔の……アナタ……?」
「うん。『生きてる意味なんて無い』って顔してる。」
最初のコメントを投稿しよう!