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「他にはありません!」
血が滴り落ちる左手の手首を右手で抑えている。
果物ナイフは刺さったままだ。
「へぇ、日記……。お前は少女か、って話だよ。」
「やめて、やめて下さい!」
「五月蝿ぇ……。俺は、本当は殺せない、とか思ってんじゃねぇぞ?俺はお前だけは絶対許せねぇんだよ……。」
彼は包丁を相手の頬に当てた。
その後、立ち上がって日記を読んでいたが、少し読んだ後、顔が険しくなった。
そして、最後のページだろうか、ほぼ白紙のページを読んだ後、日記を破り散らした。
「ふざけんな!ふざけんなよぉ……。アイツは、アイツはこんな下らない野郎に……。」
“号泣”というのが正しいのかもしれない。
彼は目から落ちる雫を手で抑えようともせず、流す中で、言葉を発した。
「……サヨナラだ……。」
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