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スーツを見事に着こなす女は、彼を見て、言葉を紡いだ。
「やっぱりそうだ。……アンタ、ウチに来ない?」
彼はやっぱりナンパか……と、深く溜め息を吐いた。
「お断りします。」
さっきのギャルと違って、一応、大人の対応だ。
「イヤ、ナンパじゃなくてさ。」
「ナンパじゃなかったら、何なんですか?」
一応、敬語を使ってはいるモノの、彼は今にも切れそうだ。
「アンタさぁ……。帰る家が無いでしょ?」
頭が真っ白になった。
人の心が読めるのか、とも考えたが、そんな人間、居るはずが無い。
「な……んで……。」
かろうじて言葉が出せた。
「最初は勘だった。けど、目を見て確信した。」
「目……?」
「アンタ、寂しい目、してる。」
これが、彼と彼女の出逢いだった。
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