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「やっぱり、図星みたいだね。」
彼は何も言わずに佇んでいる。
「とりあえず、ウチに来なって。」
彼女は無理矢理、彼の手を引いて歩き出した。
彼は手を引かれ、歩きながら、ボーっと大人気の女優、“藤堂葵”の事故撲滅ポスターを見ていた……。
彼女の家は、赤いマンションだ。
そこを三階まで上がって、302号室の前に来た。
「ここが私の部屋。」
彼女はそう言うと、鍵を開けて、中に入った。
そこは白と黒でほぼ統一した、綺麗な1LDKだ。
手を引かれているので、自然と中に入る。
女性の部屋に入ったのなんて、生まれて初めてかもしれない。
「そこに座って。」
彼女に指示された通り、リビングの黒い絨毯の上にある、白いソファーに座った。
彼女はキッチンでコーヒーの準備をしている。
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