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「コーヒーで良かった?」
彼女はそう言いながら、スナフキンが描かれたコーヒーカップを出してくれた。
「名前聞いてなかったね。名前は?」
「藤堂葵(とうどうあおい)。」
「うん。偽名感たっぷりだね。」
クスッと笑う。
不覚にも、彼は彼女を“可愛い”と思ってしまった。
「まぁ、いいや。私は石川凪(いしかわなぎ)。宜しくね?葵。」
凪はそう言うと、コーヒーを啜る。
「はぁ。それで、もう帰って良いですか?」
葵は至極当然のことを聞いた。
いきなり連れてこられたのだ。
出ていきたいのは当たり前だろう。
「帰る?葵は帰る所ないでしょ?此処に住むんだよ?アンタは。」
目の前が真っ暗になった。
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