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というわけで、折れた心をなんとか奮い立たし海辺の防波堤までやってきたのだが…。
「暑いな」
結局のところ、期待していた潮風もなく、アスファルトの上で突っ立ってるのとなんらかわらない熱気が俺に襲いかかってくる。
さっきまでの浅はかな考えを持っていた俺を、激しく殴りたい衝動に駆られながら、来た道を引き返そうとすると、ふと下に広がる砂浜が目に入った。
海の家も何もない、面白み皆無のただの砂浜。
あるのはどこからか流れ着いたゴミくらいか…どうせ流れ着くなら思い切って死体の一つや二つ流れ着いてみろや。
なんて非人道的な事を思っていると、砂浜に横たわる丸太のような物を見つけた。さらに、よく見ると人に見えない事もなかった…。
「あれってまさか…?イヤ、漫画やドラマじゃあるまいし、都合よく死体なんかあるわけ無いか」
とはいえ、もし本当に死体だったら…?
てことは俺が第一発見者になるのか?どうする、行ってみるか?
否応無しに繰り返される自問自答の中、この状況に意外と冷静でいられる自分に気づき、少し感心。
そして最終的に導き出された答えは…
「行くだけ行ってみよう…」
結局俺はわずかな好奇心に負け、死体がどうか確かめに行く事にした。
「オイオイ、マジかよ…」
俺の予想は当たってしまった。
砂浜に横たわっていたのは、セーラー服姿の、俺と同じ位の年齢の女だった。
腰の辺りまである長い黒髪が特徴的で、なかなか整った顔立ちをしてはいるが、相手は仏さんだ。いくら俺でも死体に欲情なんてしない。
「どうすっかなぁ…」
あーあ、俺が第一発見者か…。
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