夏vacation。

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とりあえず警察に通報するか? 俺が携帯を取り出し、おなじみ110番にかけようとした瞬間、俺はあることに気づいてしまった。 コイツ…濡れてねぇ。 砂浜に横たわる体は、流れ着いたにしては明らかにおかしかった。 服はおろか、体や、長い髪も全く濡れていないのだ。 もしかして乾いたのか?この暑さだ、別におかしい事じゃない…。 しかしこの髪はどうだ?塩水に触れたにしてはサラサラだ。 俺はそっと髪を手にとってみた。 うん、よく手入れされてるな。それにしても、女の髪ってのはみんなこんなサラサラなのか?生まれてこの方、女とのコミュニケーションが数える程しかない俺にとっちゃあ、これは俺史上初の出来事な訳で…まあ、何が言いたいかというと、とても良い経験させて貰いました。本当にありがとうございます。 おっと、決して変態なんかじゃないぞ! 「…って、俺は一体何をやってるんだぁ!?」 バカか!?死体の髪に触ってノホホンとしてるなんて、とても正気の沙汰じゃねー! 「くそっ、お前のせいだぞ!!」 俺は掴んでいた髪を思いっきり引っ張ってやった。 「……っ!?いったぁ!!何、何があったの!?」 …………え? 「えええぇぇぇぇぇぇぇえ!!?」 バ、バカな…死体が動いただと!? 待て待て待て…こういう時こそ冷静になるんだ!さっきのクールな俺を取り戻せ! 「ねぇ?」 そうだ、こんな時は大好きな相対性理論について考えよう!……ごめん嘘。とにかく!これは夢なんだ! 「ねぇってば?」 あれ、今週のジャンプ買ったっけ?今日って何曜日?俺なんでこんな所にいるんだ? 「ねぇって言ってるでしょーーー!!」 「は、はい…!」 結論、夢じゃなかった…。
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