617人が本棚に入れています
本棚に追加
「君は誰?」
俺が死体だと思ってた女は、叫ぶや否や、俺を真っ直ぐに見据えそう質問してきた。
「誰って、お前こそ誰だよ?」
すると、女はムッとした顔になって言い返してきた。
「質問に質問で返さない!だいたい、人が気持ちよく寝てたのに、いきなり髪の毛を引っ張って起こしてきたんじゃない!そっちから名乗りなさいよ!!」
あれ寝てたのか…てっきり死んでんのかと思った。
つーかこんなくそ暑い所で寝るなんて、コイツ死にたいのか?しかもセーラー服って…部活か何かか?
とにかくコイツは怪しすぎる。あまり関わらない方がいいな。
「あー、まあ、さっきは悪かったよ。そんじゃ俺は用があるんでな、帰るわ。あと、一応忠告しといてやるが、そんなとこで寝てっと干からびて死ぬぞ。じゃあな。」
さて、暑さでやられない程度に自由気ままな散歩の再開…のハズなのに…。
「オイ、なぜ俺の服を掴む?」
この女、俺の服の裾をしっかり掴んでいやがる。バカ、離せコノヤロー!
「痛い…」
「え?」
なんだ?今何か言ったか?
「頭痛い…助けて」
はあ?
なんだコイツ?何言ってやがる?
頭痛いから助けろ?バカ言ってんじゃないよ。俺にそんな義理は無い上、むしろ今は俺のが助けて欲しいぐらいだ。ほんと散歩なんか来るんじゃなかった…。
「痛いよ~、死んじゃうよ~。」
俺の心境を知ってか知らずか、しっかりと俺の服を掴んだまま、もう片方の手で頭を抑え、涙ぐんだ目で俺を見てきやがる。
「し、知らん!そんな所で寝てるお前が悪い!早く家にでも帰れ!」
「ひどい~、助けてよ健太郎~」
「自業自得だろ!俺は忙しいん…だ…って、お前何で俺の名前知ってんだ!?」
おいおい、おかしいだろ?俺はコイツに名乗った覚えなんてねーぞ!なのに、どうして…?
「さぁね~、助けてくれたら教えてあげるよ。」
チッ、やっぱそうきたか。
「しゃーねぇ、行くぞ。」
ったく、あーめんどくせー!
最初のコメントを投稿しよう!