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そんなこんなで、謎の女を引き連れて近くのファミレスにやってきた。
あまり金も持ってないし、ドリンクバーでいいだろう。
注文を取りに来た若い店員にその事を伝えると、一瞬顔をしかめた後、「かしこまりました~」と何故かやる気のない返事を残して去っていった。
所詮ここも利益重視か。お客様にいい時間を過ごしてもらおうという気はないのか?ったく、世の中なっとらんな。
大して年も行ってないくせに、そんな事を思っていると、向かい合わせに座っている謎の女がこんな事を口走りやがった。
「私コーラね。ほら、さっさと行く!」
さすがにこの態度には腹が立ったので、
「てめぇ、あんま調子乗ってっと痛い目みるぞこら?」
と、ちょっと怖いお兄さんっぽく言ってやった。これでもドスの利いた声だけは自信があるんだ。声だけは……。
とにかく、飲み物くらい自分で取りに行けよ!
「痛い目って?まさかこんなとこで強姦レイプでもしちゃうのかな?いや~ケダモノ~!」
「バ、バカヤロウ!!叫ぶんじゃねーよ!ほれ見ろ、皆さんこっちに注目しちゃってんじゃねーか!?それに強姦レイプって結局、強姦強姦って事だぞ。ちったぁ勉強しやがれ!」
とまあ、一通りのツッコミと共に女の頭に空手チョップを喰らわせてやった。
「いてて…もう~ひどいよ健太郎。ちょっとした冗談じゃん?」
チョップを喰らわされた所を抑えながら訴えてきた。
「だからって叫ぶ奴があるか!!てかお前、頭痛いんじゃなかったのかよ!?それに、何で俺の名前知ってるのかいい加減教えろ!」
すると、女は少し考えた後最初に店員が持ってきたお冷やを一口飲み、笑ってこう言った。
「頭は治っちゃった!名前は…忘れた!」
笑えねーよ…なんか不気味じゃねぇか!夏だからか?ちょうど怪談話が恋しくなる季節だもんな…でも当事者にはなりたくなかったな…。
「まあ忘れちゃったものはしょうがないよ。私の名前はユウ。これからよろしくね?」
は?
「ちょい待ち…これからよろしくってなんだ?」
「私さ、帰る場所無いんだよね。だから、しばらく健太郎の家にお世話になるね!」
ユウ…だっけか?やっと名乗ったと思ったら、とてつもない核爆弾を投下しやがった…。
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