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「あ、ああん…健太郎、ダメ……痛すぎて死ぬぅぅ!」
「死ね」
潤んだ瞳をこちらに向け、妙に色っぽい声で訴えてくるユウに満面の笑みでそう言うと、俺は席を立った。
なぜか?決まってる、ドリンクバー代二人分300円を無駄にしない為だ。
なるべく人が座っていないテーブルの横を探して歩いて行く。
言っとくが対人恐怖症とかじゃないぞ。ただ他人の席という空間に、たとえ視界の端でも干渉したくないだけだ。
俺が変わり者なのは重々承知だ、何も言うな。
さて、肝心のドリンクなんだが…ここは炭酸にするかお茶系にするか…迷うな。
炭酸は…コーラにファンタ、メロンソーダか。とりあえず王道だけ集めといたって感じだな。
お茶系は爽健美茶に烏龍茶だけ。これまた王道か。
まあいい、とりあえず決めなくては。
「私コーラね!」
ふとそんな声が後ろから聞こえてきた。
「了解、コーラな。じゃあ俺は…って、何してる?」
振り返ると、早く渡せと言わんばかりに手を俺に差し出しながら立っているユウがいた。
「飲み物取りに来てくれたんでしょ?早くコーラ!」
更に手を出しながら言ってきた。
コイツ、コーラ厨か?
「別にお前の分を取りに来たわけじゃないんだが…仕方ない、金は二人分払ったんだしな。ほら、持ってけよ」
俺がコーラの入ったグラスを渡してやると、すぐさまそれを奪い取りテーブルに戻っていった。
「礼ぐらい言えよな…ったく、最近のお子様は人としての常識もしらんのか?」
と、文句を言いつつ俺が手にしたドリンクは…コーラです。
無事影響されたようです。本当にありがとうございました。
まあ、席に戻ったら、すでに渡したコーラを飲み干したユウに俺の分まで奪われたけど…。
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