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「時雨,大丈夫か」 猛火が楓に手を差し伸べた。 何時もは楓を目の敵にしている猛火だが,やはり弟の危機は放っておけ無かった。 「私は,平気です。それより,兄上に御迷惑を……」 「お前は此が初陣だろう。気にする事は無い」 立ち上がった楓の頭を,猛火は優しく撫でた。 「刀をとれ,時雨。戦は終わってはいない」 楓は,無言で頷いた。 「猛火様,楓様ッ!!!!」 猛火の配下武将が,息を切らして,駆け寄って来た。 「何事だ,申せッ!!」 猛火の代わりに,直ぐ側にいた楓が応えた。 「ははッ!一志様,敵の攻撃を受け大怪我をッ!!!!!」 「して……戦は…」 「我等が破れましたッ…」 今まで列強だった皐夜家が,敗れたのだった。
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