19人が本棚に入れています
本棚に追加
゙皐夜家のために生きなさい゙
幼い楓は,父からそう言われ続けて生きてきた。
皐夜家のためなら,命すら捨てろ,と楓は言われた。
楓は逆らわなかった。
この乱世,楓が役に立てる事は,その身を有力者に捧げる事だけであった。
戦で武功を上げるより,その方が楓には上手く出来る。
皐夜家には女児がいないから。
仕方無いのだ。
だから,女として生きる事に対しても,父に反発はしなかった。
欲望の目
哀れみの目
好奇に溢れた目
蔑み見下した目
今まで全てに堪えてきた。
皐夜家三男なのだから,堪えられるはずだから。
しかし,七つになった時,感情が上手く機能しなくなった。
喜怒哀楽,全てがどの様に機能させるか解らない。
だって,楓は人形になる事を望んでしまったのだから。
最初のコメントを投稿しよう!