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きっと今頃,兄である一明は,自分の事で父に意を唱えているだろう。
争いは,嫌だ。
「初……近々戦があると聞いたのだが…」
「お父上様が,姫様にも出陣しろ,と申しておりました…」
お初は,遠慮がちに一志からの伝言を伝えた。
楓は,姫様として育てられてきたのだ。
だが,剣技は並みの男など比べ物にならない程の腕だった。
「私は,男なのか…それとも,女なのだろうか……」
苦笑混じりに言うと,お初は困った様に,頭を下げた。
「貴女は,貴女らしく生きれば良いのです」
そう言って,楓に微笑んだ。
「私は――私らしく………」
――私は女?それとも男…?
もう,分からない――
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