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「秀頼様の名代で参陣つかまつった。」
「片桐殿、此度の参陣恐悦至極にございます。」
立場上、且元は豊臣家の家老である。
「いやいや、竹中殿の頼みとあれば聞かぬ訳には参るまい。」
且元は温厚な人物として華やかさに欠け凡庸な武将に見えるが、かつては賎ヶ岳七本槍に名を連ねた猛将である。
内なる闘志は同じ賎ヶ岳七本槍の福島正則や加藤清正にも劣らなかった。
「まずは山を下り、一気に東軍と決着を着けるが寛容かと。」
戦名人、立花宗茂が言った。
この男,劣勢の中でも活を見いだし周りを圧倒する天才的な才能を持っている。
「左様、ならば先鋒は立花殿に任せたい。」
「ありがたい、この宗茂…一生の誉れでございます。」
宗茂は一同に軽く会釈すれば自分の軍勢の元へ戻った。
「総兵力は?」
「五万にございます。」
重治が答えた。
「よくもこれだけ集めれたものじゃ」
輝元が言う。
「これも竹中殿の才能の一つじゃの。」
と、利長が続けざまに言う。
そう話している内に宗茂の準備が終わり、松尾山を下った。
家康も唖然としているだけではなかった。
無傷の旗本三万を中心に信用の置ける本多忠勝、井伊直政、松平忠吉を左右に展開させた。
「かかれぇ!」
すると西軍先鋒、立花宗茂と東軍、井伊直政が激突を始めた。
「参るぞっ!」
重治は一気に松尾山を下る指示をした。
すると千成瓢箪の旗をなびかせながら軍勢は次々と松尾山を下った。
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