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松尾山から千成瓢箪の旗が動くのが見えた。
「儂らはこれより秀頼様に加勢する、皆続け!」
正則は西軍に寝返った。
これは豊臣恩顧の大名に大きな影響を与えた。
正則は反転し本多忠勝の軍勢に突撃した。
そうすれば後は豊臣恩顧の大名の連鎖が始まった。
まずは加藤嘉明である。
続いて小早川秀秋、浅野長政、池田輝政。
遂には毛利、吉川も動き始めた。
四方を囲まれた徳川勢に勝ち目はなかった。
家康は少ない近臣と共に中山道を走った。
殿は松平忠吉がつとめる事となった。
「お前は本多忠勝かっ!」
「そこにおるは福島正則っ!よくも裏切ってくれたな。」
「馬鹿を申すな、我が主は豊臣秀頼様に置いて他ならぬ、家康に忠誠を誓った覚えはないわっ!」
「黙れっ!貴様を血祭りにあげんと気がすまぬわっ!」
「おうおう、やってみろ。」
遂には忠勝と正則は槍を合わせた。
「てやぁ」
何度も槍が交わった。
しかし二人とも傷をつけるどころか全ての突きを弾き返していた。
しかし二人の一騎討ちが中盤に差し掛かったところで大勢の徳川勢は討ち取られていた。
一瞬、忠勝の視線が周りを見渡したのを正則は見逃さなかった。
「そこだっ!」
正則の高速の槍を忠勝は反応の遅れから交わす事が出来なかった。
「うぐっ」
忠勝の悲痛な声が聞こえた。
正則は更に力を込め槍を押し込んだ。
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