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すがすがしい青を見て、彼女は手を伸ばしました。すがすがしい青に触れようと、彼女は手を伸ばしました。
ああ、私は なんて情けないのでしょう。こんな彼女に、言葉のひとつも掛けられません。
「高いなあ」
ぽつりと、彼女は呟きました。その声は、実に儚げなものでした。
どんなに手を伸ばしても、空には決して届きません。低く浮かぶ雲さえも、掴めることはありません。高い高い空。触れられないことくらい、彼女だってよく知っているでしょう。
それでも、彼女は愛しそうに目を細め、空に手を伸ばしているのです。
私は ただそれを傍観し、欠伸をひとつするのです。
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