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彼は、私のことなどいとも簡単に見透してしまう。その上で、肯定の相槌を打ったのだ。
「でもさー、馬鹿だよねえ」
自嘲した。
「それでも、また頑張ろうって思っちゃうんだ」
声が震えた。理由は分からない。
「期待、しちゃうんだ」
ただ、どうしようもなく甘えたい。
彼は、全てを知っているのだ。だから甘えられる。
歳が十五も離れているから、ねえ、私なんて幼いでしょう。
新聞がテーブルに置かれた。空になった三本の缶チューハイを片付けに、気だるそうに、彼は椅子を離れた。
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