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――…ち、…いち…
眩い光が窓から降り注ぐ朝、誰かが俺を呼ぶ声がする。
俺はまだ重たい瞼をゆっくりと開けて、声の先へと虚ろなままの目を向けると、そこには優しい微笑みを浮かべる親友の姿があった。
「おはよう、壱(イチ)。」
「んー…おはよ、…って………うぇ?」
―――何、この状況。
俺と向かい合うように寝転んでいるコイツは、幼なじみであり親友の相田 瞬(アイダ シュン)。家が隣で、ガキの頃からの仲。そいつが今、俺の目の前にいる。…いや、まぁ百歩譲ってそれは良しとしよう。
何故なら問題はそこじゃないからだ。問題は―…
何で俺と瞬が裸なのかってことと、何で今現在進行形でベッドの上で俺がコイツの腕のなかにいるのかってことだ。
って、何で俺こんなに冷静なんだよ!この状況はどう考えてもおかしいだろっ!!
俺が今の状況に上手く対応できず一人で悶々と考えを巡らせていると、頭上からクスリと笑う声。それに釣られるように顔をあげるとそこには、世界中の女性達が見とれてしまう程の極上の微笑みを浮かべた瞬がいて――…
そしてゆっくりと顔を近付けて来たかと思ったら、目にかかってた俺の前髪をそっと払ってから額に軽く口付けて、ひどく優しい声で囁いた。
「…壱、可愛い。」
俺は言葉を失い、口をパクパクとさせて瞬を凝視した後、
「……っ、ギャァァァアアーーーッ!!!!!!!」
と絶叫した。
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