ほんの小さな出来心

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男はめくった空中をグシャグシャに丸めるとそこら辺に放り投げて、辺りをキョロキョロと見回して誰も見ていないのを確認してから、その穴へと飛び込んで姿を消してしまった。 ――そ…そんなバナナ。 俺は慌ててそこに向かって、ウサ耳男が飛び込んだ穴を覗き込んでみるけど、何も見えない。 もう少し身を乗り出して穴に顔を突っ込んでみる…うーん、…真っ暗でよく見えないな。 ―――トン そのとき、俺は誰かの手に軽く押された。 「…え?」 そして俺はバランスを崩して、その真っ暗な穴の中へ真っ逆さまに落ちていった。 「――っ、ぎゃああああぁぁぁぁぁ――…」
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