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……何やってんだ、俺。
こんな時、ツッコミ役のなっちゃんが恋しくなる。なっちゃんがいればなぁ…
俺は切実にそんなことを思いながらハァ、と溜め息をついた。
まずここはどこなんだろ。俺はジュニアから視線をずらして辺りを見回した。
見た感じ、ただの廊下みたいだな。……ただし、中世ヨーロッパ風の。
俺は濡れた髪をワシャワシャと掻いてスライムを落とす。
――そのとき、カツ…カツ…と誰かの足音が聞こえた。
俺は反射的に手の動きを止める。
方角的に多分すぐそこの曲がり角から音は聞こえる。一体誰だろう。そうこう考えている内にも段々と音は近付いてくる。
…そこで俺は急に不安になった。
知らない場所で独りぼっちで。もし不法侵入だと言われたらどうしよう。穴から落ちてきたと言えば信じて貰えるだろうか?
いや、きっと誰も信じてはくれないだろう。
ああ神様、どうかこっちには来ませんように…。
カツ―…カツ―…
しかし無情にも足音は大きくなってゆき、こちらに向かってきていることを知らせている。
足音的にも、相手はきっともうすぐそこだ。俺は拳をキュッと握って俯きキツく目を閉じる。
もう、終わりだ――…
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