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カツ…カツ…カツ、
相手は俺の前まで来て足をとめた、というか俺の前で足音が止んだ。そして前にいるであろう人物はいつまでたっても何の行動も起こそうとしない。
暫くの沈黙が続いた。
―――……?
不思議に思った俺は恐る恐る目を開くと、下から順番に靴、足首、ひざ…と相手を確認していく。
そして視線を漸く相手の顔へと向けた時、相手と目がばっちりあった。
「―――…あ、」
そこにいたのは―…
「…ゆ、…悠理?悠理だよなっ!?」
逆光ではっきりとは見えないけど、目の前にいたのは、今朝会ったばかりの悠理だった。予想外ながらも俺は満面の笑みを浮かべて少し身を乗り出して相手へ話し掛ける。
「なぁっ、悠理!聞いてくれよ、信じらんないかもしねーけどさ、俺…
「悠理とは一体誰のことだ?」
俺の言葉を遮って、悠理(?)は俺に問い掛ける。その声色はいつもより落ち着いていて、自然と大人っぽい雰囲気を漂わせるようなものだった。
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