(起)

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 水晶玉? 最初は、ただのガラス玉だと思っていた。手の中にシックリと馴染むその玉は、不思議と僕を求めている様で、どうしても手放す事が出来なかった。  その答えを僕が知ったのは、ついこの間の事だ。  ~ヒーローは小学生~ HIKARI(光)--番外編--    日も暮れる頃、友達の「優也」(ゆうや)が、中学生にカツアゲを喰らっていると、慌てた様子の、クラスメイトでもある「将太」(しょうた)から聞き、僕は全速力で「お化け公園」へ自転車を走らせていた。 「お化け公園」は、本当は「大馬袈(おおばけ)公園」と言うのが正しいが、「お化け」の目撃証言が後を絶たない事から、いつの間にか「お化け公園」とみんなから呼ばれ、恐れられている。  車通りの少ない道路にある、コンビニの角を曲がり、古びた民家の間を突き抜けると、一際小さな「お化け公園」が視界に現れる。  鬱蒼(うっそう)と生い茂る深緑色の木々が、お互いを押し合うかの様に何処までも立ち並び、そのせいで太陽の光がほとんど地面に届かなくなっている。  そんな、都会では珍しい程の森林が、「お化け公園」の一体に広がっている。  お化け公園の入口に到着すると、向こう側に見える錆(サビ)だらけの滑り台の下で、詰襟(つめえり)の学生服を着た、四人の中学生を発見した。
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