(起)

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「これでもキレイ……?」と大きく不気味な目を見開き語りかける女。  余りの恐怖と、信じられない光景に腰を抜かし、尻餅をつく中学生。  すると、女の顔が急に険しくなる。 「あら……そんなに私の顔が醜い……?」  ズリズリと足で地面を蹴りながら、立つ事も出来ず、後退りをする事で精一杯の中学生。    女は、おもむろに懐(ふところ)から、刃渡り五十センチ程の巨大なハサミを掴み、中学生に見せびらかす様にジャキン……ジャキン……と刃を開閉させる。  外灯の光が、ハサミの刃を照らし出すと、赤い液体がまとわり付き、滴る液体がポタポタと地面を濡らす。  ガタイの大きな中学生でも、その液体が何なのかが直ぐに解った。  --血だ……! 「止めて! 助けて!」と言いたいが、声が出ない。  女の大きな口からは、人間の声とは思えない様な恐ろしい笑い声が聞こえるが、その顔は、怒りと憎しみに満ちている。  次の瞬間、ジャキン!! と言う音と共に、中学生の首が無くなった。 「あの……水晶玉が欲しい……」  そう言い残し、女は闇へと消えていった。  月の光さえ届かないお化け公園は、静寂に包まれた。
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