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優也からの携帯が鳴り響いた。
土曜の休日だと言うのに、朝の六時からのモーニングコールはあまり良いものじゃない。
僕は、ベッドの布団に潜り込み、再び襲いかかる眠気を押さえながら携帯のスピーカーを耳に押し当てた。
「もしもし……」
「アキラ、大変だ! テレビを点けてみろ」と慌てた様子の優也の声が、まだ準備が出来ていない僕の鼓膜を容赦なくノックする。
無駄にボタンの並んでいるテレビのリモコンを、枕元のテーブルから手探りで掴んだ僕は、ゆっくりと上半身を起こした。
そして、大きなあくびをしながら電源ボタンをプッシュした。
「ついたか?」
「いま、つけた……」
テレビの画面に映し出された映像には、マイクを持った女性リポーターが、何かを喋っている。
どうやら、殺人事件らしい……
しかし、女性リポーターが立っている後ろの、事故現場とされている公園には見覚えがある。
昨日、中学生にカツアゲをされていた優也を助けた公園……「お化け公園」だ。
「マジかよ、昨日行った公園じゃん」
「殺されたのが、アキラがぶっ飛ばした奴なんだよ!」
優也の言葉と同時に、テレビの画面に殺された中学生の顔が映し出された。
どこからどう見ても、昨日の中学生だ。
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