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「じゃーお前は不参加か……中嶋くんがいい! って女、結構いんだぞ? しかも可愛い子!」
「だから?」
「お前……女子の間で大人気なんだぜ? クールでかっこいい! とか鬼畜に眼鏡は最高! とか……」
「俺は別に鬼畜じゃない。そして眼鏡は伊達だ」
「鬼畜じゃないって……まぁお前はサディストではないな……」
勝手に納得している藤田を尻目にふと考える。
鬼畜じゃない……そもそも鬼畜とは何だ?
鬼畜とは……辞書には“ひどく残酷で、無慈悲な人”と書かれていた。
俺だって多少の思いやりはあるつもりだ。じゃなきゃ、初めて会った美紗を助けるために藤田を突き飛ばしたりはしないからな。
「そっか。眼鏡は美紗ちゃんのお願いだっけ」
「そうだよ。ったく、俺は目がいいのにな」
「じゃあ外せば? 美紗ちゃん……いないんだし」
「出来ないな。こういうのを破るとうるさいし、第一に……」
俺が守っていたいんだ。
ただそれだけ。
やっぱり俺は寂しいのか……。
「それに美紗ならいきなり目の前に現われそうだしな」
「あー分かる。普通無理だけど美紗ちゃんならできそう」
美紗なら……いきなり目の前に現れて、笑顔で「ただいま!」なんて言いそうだよ。
――知ってるよ。
そんなん、現実じゃ絶対に無理だって。
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