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「答えになってないんだが」
「いーじゃない、別に。どこで食べようと私の勝手でしょ!?」
ふと見れば藤田は自分の弁当にがっついている。
周りもそうだ。
自分の食事を優先させている。
よって、俺の言った咲山に対する文句は消え失せたわけで。
おかげで咲山の奴は“ふふん”と鼻で笑っている。少々腹が立つが、このクラスでそんなことを気にしているのは俺だけ。
別に周りに流される、といったタイプではないが無駄に注目を集めるのはどうも好きではない。
いや、大嫌いだ。
よって仕方なしに自分の席に座り、購買で買ったあんパンに噛り付いた。
「あ、そういやさ! 俺ってなんでモテないんだと思う!?」
「いきなり何だ、いきなり」
突然思い立ったように顔をあげ、そんなことをほざきやがった。
俺は口からあんパンを離し、咲山もじっと藤田の顔を見ている。
「だぁってさ! せっかく咲山ちゃんみたいな可愛らしい女の子がいるんだもん! 聞かなきゃ損でしょ!?」
別に損だとは思わない。
なんてたってお前は女から人気が高いからな。
要はモテている。
まぁ持ち前のバカさ加減で気付かないのと、幻滅されてふられるといった感じだが。
よって咲山は答えに困っている。
俺には聞いたところで貶されて終わるのが分かっているので何も言わず、ただ期待に満ちた目で咲山を見つめている。
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