はじまり

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「で、なんだよ?」 「お? 話早くて楽だなぁ~……実は―― 「合コンは行かない」  にこにこと笑っていたため、細くなっていた目がこれでもかというくらいに開かれる。  まぁ細いのは変わらないが。 「なんだよ~。まだ何も言ってねぇじゃんっ!」 「違うのか?」 「いや、そうだけどさ」  やっとの思いで大学を受験し、去年一年間は新しい生活に慣れるために必死だった。  そして二年になり、それなりに大学生活を楽しめるようになってきた。  よって合コンは少なからず魅力を感じる。  が、それは俺にとっては無理なこと。 「お前……知ってんだろ?」 「あー……そか。美紗ちゃんか」 「そういうこと」  藤田は納得したように頷く。  コイツ、忘れてたな……。 「でも大変だなっ! 合コンなしとか俺は死ぬね」 「あぁお前ならな」 「でもなんで?」 「さあな。二年間は合コン禁止らしい。あいつのことだから二年間は俺に独り身を味あわせたいんだろ?」 「あー……美紗ちゃんならしそう」  おい、美紗。  このバカにこんなこと言われてるぞ?  聞こえないのは分かっているが、こうやって言えば聞こえてくれる気がする。  俺はそんなに寂しいと感じてるのか? 「ま、出会いは衝撃的だったよな」 「ある意味な。さすがにあれはびびった」 「だよなぁ~、表情の変化に乏しいお前が目ぇ見開いてたし」  けらけらと笑いながら言うコイツをぶん殴りたい。  まぁそんな無駄なことをしてまた下手に注目を浴びたくはないが。  それに、美紗との出会いは衝撃的だったのは確か。  あれは俺らが高三になったばっかの頃のこと――  
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