20人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、なんだよ?」
「お? 話早くて楽だなぁ~……実は――
「合コンは行かない」
にこにこと笑っていたため、細くなっていた目がこれでもかというくらいに開かれる。
まぁ細いのは変わらないが。
「なんだよ~。まだ何も言ってねぇじゃんっ!」
「違うのか?」
「いや、そうだけどさ」
やっとの思いで大学を受験し、去年一年間は新しい生活に慣れるために必死だった。
そして二年になり、それなりに大学生活を楽しめるようになってきた。
よって合コンは少なからず魅力を感じる。
が、それは俺にとっては無理なこと。
「お前……知ってんだろ?」
「あー……そか。美紗ちゃんか」
「そういうこと」
藤田は納得したように頷く。
コイツ、忘れてたな……。
「でも大変だなっ! 合コンなしとか俺は死ぬね」
「あぁお前ならな」
「でもなんで?」
「さあな。二年間は合コン禁止らしい。あいつのことだから二年間は俺に独り身を味あわせたいんだろ?」
「あー……美紗ちゃんならしそう」
おい、美紗。
このバカにこんなこと言われてるぞ?
聞こえないのは分かっているが、こうやって言えば聞こえてくれる気がする。
俺はそんなに寂しいと感じてるのか?
「ま、出会いは衝撃的だったよな」
「ある意味な。さすがにあれはびびった」
「だよなぁ~、表情の変化に乏しいお前が目ぇ見開いてたし」
けらけらと笑いながら言うコイツをぶん殴りたい。
まぁそんな無駄なことをしてまた下手に注目を浴びたくはないが。
それに、美紗との出会いは衝撃的だったのは確か。
あれは俺らが高三になったばっかの頃のこと――
最初のコメントを投稿しよう!