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「うぅ……祐太が冷たい」
「だから?」
別に藤田が嫌いだから冷たくしてるわけじゃない。
ただこれが俺の性格。
ほとんど感情を表に出さないだけ。
おかげで俺が不良ぶってる奴じゃないと分かった今でも俺に絡んでくる同級生は皆無に等しい。
もちろんこのバカは除いてだが。
「ま、いーや。つか明日入学式だよなっ! 可愛い子いるかなー」
「本当にそういうこと言う奴っていたんだな。真面目に引いた」
「な、なんだよ! いーだろ? 俺の勝手だ!」
ふと視線を横を歩く藤田に移す。黙ってればそこそこ女子受けのよい容姿を持っているとは思う。
あくまで黙ってればだが。
背だって平均並の俺よりやや大きい。
現在、放課後で明日の準備に追われる生徒が走り回っている。
俺はやる気がないから、藤田は俺がやらないからという理由で準備をクラスメイトに押し付け、今は帰るために廊下を歩いている。
そして何人かの女子生徒がこちらを振り返る。
もちろん、藤田を見るために。
ムカついたから何も言わずに藤田のケツを蹴ってやった。
「あたっ! んだよ、いきなりぃ~」
「ムカついたから」
「なんだよ、それ!」
藤田がキレているのを流しながら歩き、やっと下駄箱に到着した。
外には桜の花が無駄に咲き乱れている。
「おー! やっぱキレイだなー!」
「花びらが舞ってウザいだけだろ」
「そーいうこと言うから女子に避けられんだぞ!」
「別に。嘘はつきたくない」
ウザイものはウザイ。
間違っちゃいない。だって本当のことなんだから。
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