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 時々思う    自分は人間では無くて  墜ちて来たんじゃないか、と    翼が折れてしまって  上から墜ちて来たけれど  帰り方が分からないから  仕方無く人間に紛れて  生きているんだ    月が私を呼ぶけれど  帰り方が分からない    ある時ふと聞こえた  (還りましょう、  貴女の居るべき場所へ)    その声に背中を押される様に  走り出して    私が行き着いたのは  ビルの屋上で。  (此処から飛べば、  翼が生えて飛べるの  貴女の居るべき場所は其処)  ―ガシャン、  声に導かれる様に  フェンスに手を掛けて  空中に身を乗り出す  ふわっと一瞬体が浮いて  翼が生えた―  気がした  翼は生えた気がしただけで  生えた訳ではなく  私の体はそのまま  減速する事無く、勢い良く  冷たく硬いアスファルトに。  ―ぐちゃっ  私の眸からは涙が一筋  自殺志願者の妄想  
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