1

11/11
前へ
/103ページ
次へ
悠は本当に真剣な面持ちで言った。 「悠……。ハハッ…わかってるよ。そんな表情しなくても、俺は一樹を裏切ったりはしないよ」 魁は苦笑しながら、そう言って俺を見た。 「…なんだ?」 「クスッ…安心しろよ。ちゃんと守ってやっからよ、お姫様」 「なっ……!?」 お姫様!? 誰がお姫様だ…!? 「魁、てめっ…!誰がお姫様だぁ!?」 「お前に決まってるだろ?一樹く……あ、お姫様だから“君”は駄目だよな…。な、一樹“姫”」 魁はそう言うと、バカにしたような笑みを俺に向けた。 「…魁!ふざけんなよ!?」 「ふざけてなんかないって」 「…ふざけてんだろ!つか、悠も笑ってんな!?」 俺は怒鳴りながら、魁の後ろで笑ってる悠を睨み付けた。 「くそ…むかつく」 まだ笑ってやがる。そりゃあ…女顔って言われたことは何回かあるけど……。 【さ~て、それでは今から学校鬼ごっこを始めたいと思います。皆さん、ご健闘を】 相も変わらずその緊張感のない声を合図に、学校鬼ごっこの幕が開いた。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

470人が本棚に入れています
本棚に追加