プロローグ

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「母親との一番古い記憶は何だ」 と聞かれて人は何と答えるだろうか。 幼稚園に連れいってもらった事? 一緒に公園に行って遊んだ事? 色々な母親との思い出があるだろうが、これが一番古いと確信出来るものは無いと思う。 記憶はそう言った曖昧なものだ。 しかし自分にはある。 確信出来る母親の記憶。 それは母親は玄関に立っていて親父に頭を下げ、親父に抱かれていた確か2才だった俺の頭を撫た。 その後振り返りもせず静かに去って行った。 大きな荷物を持って… まるで夢のように曖昧な記憶である。 小学校に入る少し前まであの女が母親だと気づかなかった。 つまり俺にはそれ以外母親との思い出が無い。 皮肉にもそれが母親が親父と離婚して家を出て行く瞬間だった。 だから俺は母親の愛情を知らない。 母親代わりに祖母に育てられた。 ばあちゃんには感謝している 。 ばあちゃんがいて今の自分がいる。 ある意味母親以上の存在である。
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