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――愛する母親の背中に生えた異様なほど白い腕は、鮮血に染められていた。
「これはあなたのせいじゃないわ。静流、血に縛られては駄目、あなたの人生なんだからあなたの思うように生きなさい…。」
胸を貫かれたまま、それでも彼女は穏やかな顔をしていた。
背中から生えた腕が抜かれると、彼女の体は崩れるように倒れた。
「お母さん、いかないで。ずっと僕の側にいて。」
自分の体が母親の血で染まるのもかまわず、静流と呼ばれた子どもは母親の体に抱きついた。
しかし、体から流れ出す大量の血は止まることを知らず、静流の腕の中で、母親の体はどんどん冷たくなっていった。
「…許さない。」
母親の返り血を浴びて真っ赤に染まった白い鬼は、静流の方を見て微笑んでいた。
「さぁ、私と一緒においで。」
白い鬼は、そう言って静流に手を差しのべた。
先ほど、母親の胸を貫いたのと同じ手を…。
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