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日野優太はうちの学校の保健医であり、俺の片想い相手だ。
でも勿論日野は男なわけで、ついでに俺も男なわけで、しかも保健医と生徒とかやっぱ無謀で…。
「男同士なんて変だよっ…諦めなよ!絶対叶わないって!」
突然耳に入った言葉に、指がぴくっと反応した。
「あ?」
今の、むかついた。
男同士だから何だよ。
そんなに変か?気持ち悪いか?
じっと睨みつけると、目の前の女はびくりと肩を揺らした。
「お前に俺の何がわかんだよ」
「ちがっ、違うよ!怒らせるつもりじゃなかったのっ!ごめんね?」
相手のわざとらしい態度に、俺の苛々は更に増す一方。
馬鹿みたいに何回も否定するそいつの胸ぐらを掴み、にっこり微笑んだ。
「ごめ…」
掴まれているにも関わらず、微笑み掛けられたそいつは、安心にも似た表情に変わる。
そんな女を見て、顔を近付けると耳元で囁いた。
「…二度と俺の視界に入んな」
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