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人間には生まれつき、どうしようもない事がある。
親がロクデナシだったり、見た目が悪かったり、最悪に運が無かったり……って、それ全部俺の事だな。
……泣けてくる。
※※※
俺……神山神成は神様に幸せの要素を丸ごと没収されて、かわりにあらゆる不幸を強制的に押し付けられてしまっている。
日本に存在するほぼ全ての車種の車に轢かれている(世界広しとはいえ、パトカーと救急車と消防車に轢かれた人間は俺が初めてだろう…)し、工場現場で鉄骨の下敷きになったのは十回以上はある。
強盗に遭遇した事も五十回以上ある。ギネスに申請すれば認定されるんじゃないかな。
まぁ、今も銀行強盗に巻き込まれていますが、それが何か?
※※※
一発の銃声が銀行内に響き渡り、辺りは騒然となった。
平日の夕方という事で、銀行内には二十人以上の客がいたけど、今の銃声で俺を除く全員がパニックになった。
「静かにしろッ! 下手な真似したらぶっ殺すぞッ!」
天井に向かって猟銃を発砲した男が、サングラス越しに受付の女性を睨み付けた。
「金だッ! 金を出せッ!」
受付の女性に猟銃を向けながら、カウンターに大きなボストンバッグを置いた。
俺はソファーに座って読んでいたジャンプから顔を上げ、銀行内を見渡した。
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