第四話 愛しているという気持ちだけで、強くなれた気がする。

93/93
6332人が本棚に入れています
本棚に追加
/433ページ
 まぁ、これっぽっちも怖くはなかったけど。 「告白したすぐ後にキスなんて……神成さんはやっぱりHです」 「……嫌だった?」  自分でもいやらしい質問だとは思うけど、どうしても聞いてしまう。  神楽は俺の腕の中でより小さくなったけど、微かに……それでいてはっきりと首を振った。 「嫌じゃないです。ただ、誰かに見られてたりしたら……」  腕の中にいてなお、聞き取り辛い程小さく呟く神楽に優しく笑い掛けた。 「誰も見てないよ。月と星……」  その時、一際大きい打ち上げ花火が夜空に大輪の華を咲かせた。 「あとは花火位だ」  大きく咲き誇る花火は、まるで俺達を祝福してくれているみたいだった。 ※※※  こうして、俺と神楽は恋人同士になった。  親にも捨てられた俺に……最愛の存在が出来た。  それが無性に嬉しく、同時に護るべき者の存在を改めて認識した。
/433ページ

最初のコメントを投稿しよう!