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まぁ、これっぽっちも怖くはなかったけど。
「告白したすぐ後にキスなんて……神成さんはやっぱりHです」
「……嫌だった?」
自分でもいやらしい質問だとは思うけど、どうしても聞いてしまう。
神楽は俺の腕の中でより小さくなったけど、微かに……それでいてはっきりと首を振った。
「嫌じゃないです。ただ、誰かに見られてたりしたら……」
腕の中にいてなお、聞き取り辛い程小さく呟く神楽に優しく笑い掛けた。
「誰も見てないよ。月と星……」
その時、一際大きい打ち上げ花火が夜空に大輪の華を咲かせた。
「あとは花火位だ」
大きく咲き誇る花火は、まるで俺達を祝福してくれているみたいだった。
※※※
こうして、俺と神楽は恋人同士になった。
親にも捨てられた俺に……最愛の存在が出来た。
それが無性に嬉しく、同時に護るべき者の存在を改めて認識した。
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