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そんな事を言ってる内から、神楽の身体がふらつき始めた。
「オイオイ……」
俺の心配が的中した様で、神楽の身体が後ろに倒れそうになった。
「く……!」
ベッドから手を伸ばして神楽の手を掴み、とっさに抱き寄せる。
神楽の軽い身体が胸にぶつかってきた。いつもなら何て事無いけど、今の俺には衝撃的とも言える痛みが走り抜けた。
「……ッ!」
神楽に情けない姿を見せたくない一心で悲鳴を飲み込んだ。
「あらあら……病室で情事なんて困りますね」
「母様!?」
病室に薫さんの声がすると同時に、神楽は俺を突き飛ばして距離を取る。ちなみに、神楽のそんな行為にさえ悶えたくなる程の痛みがあった。
「ぜ…全然そんなんじゃないです! 母様が来てくれなかったら、ウチはこの性欲魔人に貞操を散らされてただけです!」
胸の痛みにツッコミを入れる事さえ出来ない。
「はいはい分かりました。それじゃあ神成くんも平気そうですし、一旦家に戻りましょうね」
薫さんに適当にあしらわれながら、神楽は病室から出ていこうとして、そこで振り向いて俺を見た。
「また……来ます」
顔を少しだけ紅くしながら、神楽は病室から出ていった。
「ごめんなさいね、神成くん」
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