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「はぁ…」
少女は遠くを見つめ、机に両手で頬杖をついて深い溜め息をついた。
─毎日毎日憂鬱だなぁ…。
どうしてこんなに毎日が息苦しいのだろうか。
少女は裕福な暮らしをしていた。
食事と言えば──
朝昼晩と高級な素材で作られた御馳走が部屋に運び込まれ。
身に付けている服は──
シルク生地のドレスに金糸で刺繍が施されたもので、一目で高いものだと分かる。
アクセサリーも無論、ダイヤやエメラルド、全てが本物である。
部屋の広さは、見上げると天井も高いし、床はゆうにかけっこが出来そうなくらいはある。
少女が生活する上で身の回りは全てが完璧に揃えられていた。
そして望めば大抵は叶えられるのである。
ただし、この願いだけはどうしても聞き入れられなかった。
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