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「まったく…姫様、話をちゃんと聞いておられるのですか?今は我が国の歴史の勉強中なのですよ。集中して下さい」
少女の呆けた姿を見兼ねて、左隣に座って歴史を教えていた、マァサが注意をする。
マァサはこの少女の乳母であり教育係でもある。
年齢は50過ぎといったところだろうか。
この少女には母親がいなっかったので、マァサは少女が赤子の時から育ててきた。
マァサは体型は恰幅がよく、赤い髪を後ろに束ねて小さな丸眼鏡をかけていた。
優しそうな感じからは想像出来ないが、姫には厳しく教育し、怒るととても恐ろしい。
少女はマァサを睨み付けて口を尖らせる。
「毎日勉強ばっかりでつまんない。たまには外に出たいんだもん」
「姫、この国をお継ぎになるのは姫しかいないのですよ。この国の歴史を学ぶことは重要なことなのです」
「アタシは城の外に出て街のことや、色んなことを学ぶことも重要だと思うけど」
「外に出るのはいけません。姫様は身体から弱いのですから。姫を部屋の外へ出してはならないと、国王様の命令です」
「少しだけでいいのよ、お願いだから!」
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