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そんなあたしも、毎日には逆らえず、大人しく昼間は周りと同じように席に着いている。
だけど、逆らっている人間が一人。
いつも同じように空いている席。あたしがこの席に人が座っているのを見たのは、ほんの数回。ちょうど隅っこに座っているあたしの、隣の席。
『瀬戸川 結城』と書かれたノートを一度だけ見た。あたしが、この席の住人について知っているのはそれだけ。
まぁ、知ろうとも思わないけれど。
うらやましいだけ。彼はきっとあたしには無いものを持っている。
頬杖をついて、前の黒板を見た。白や赤、青や緑。それに黄色。色しか解らなかった。他には何も解らない。前に立っている人間が何を言っているのか、何を伝えたいのか。
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