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日が経つにつれ、君と会う回数は多くなっていった。
君は相変わらず、優しい笑顔で僕を迎えてくれる。
僕は君の優しさに甘えていた。
会えばお互いの体温を確かめ合うように抱き合って、朝まで一緒にいることが普通になっていた。
君と一緒にいるときは、何もかもがうまくいきそうな、そんな気がしていた。
ある日、抱き合って眠っていたとき、ポツリと君が言った。
「彼女さんは知ってるの?ここに来てること」
「バレてないはずだけど?
…不安?」
「ううん、そういうんじゃなくてさ」
「どうした?」
「あのさ…
彼女を悲しませないでね」
僕は何も言えなかった。
今まで見てみぬふりをしていた罪悪感が押し寄せてきた。
僕のしていることは、誰かを傷付けていることになる。
僕は気がつかないうちに、君をキツく抱きしめていた。
お互いのマイナスを埋め合う、僕らの関係。
やはり叶わない思いなのだろうか。
表には出してはいけない感情なのだろうか。
君と会う回数が増えるたび、誰かを傷付けているという事実が、僕を締めつける。
それでも…
君は僕を受け入れてくれて
僕は相変わらず、君の優しさに甘えていた。
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