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――目を、開けた。
「よぉ、そこの兄ちゃん。この剣買わねぇーか? 今なら安くするぜ!」
「中央広場でイベントやってるんだって! はやくはやく!」
聴覚を刺激する音。瞼を刺激する光。その全てを感じて、風が巻き起こった。いや、ただそう感じただけ。
私を取り巻く風なんてない。だけど、急激な状況変化に私は息を呑んだ。
喧騒絶えないざわめき。
楽しげで明るい雰囲気は、私を歓迎するかのようだった。
――信じられない。
ぶるり、と身体を震わせる。それは驚愕からの条件反射で無意識だった。
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