はじまり

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      2         勢いよく開いたドアには、一切手を触れていなかった。その不思議な現象に誰もが、彼はこのクラスの生徒であることがわかる。 彼の名前は赤坂大地。サイコキノ(念動能力者)の能力を持ち、手を触れずにドアを開けた。 そして、また能力を使って、ドアを閉める。 「どうしたんだ?」 学校指定のYシャツの上に、カーディガンを重ね着した男子生徒は、大地に声を掛けた。 「ん?」 その声の方に振り向く。 声を掛けたのは、同じE.Cの生徒の影矢紫音である。彼の能力は、クレヤボヤンス(遠隔透視能力)というものだ。 紫音は読みかけの本に栞を挟める。 彼の紫がかった左目は、黙って大地を見つめた。
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