はじまり

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      3         並ぶ机をすり抜けながら、紫音に向かってぼやいた。 「さっきコンビニで買い物してたわけ。そしたら、そこの店員の野郎、俺がエスパーとわかると、態度を変えやがったんだ」 後ろに引いた椅子に、思いっきり座った。 紫音は「そんなことか」と、呆れたように栞を挟めたページを開いて、再び本を読み始める。 「あー、ちきしょうー!」 怒りをぶつける的を失った大地は机に伏せた。 ―そもそも、なぜコンビニの店員が、ただの客の大地を、エスパーとわかったのか。 それは、エスパーは生まれたときから、片目の色が違うからである。 ちなみに、大地の右目は赤い。 「朝からそんなとこ、行っちゃダメでしょ?」 窓から吹かれた風が、シャンプーの甘い匂いを、大地の鼻に運んだ。
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