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5
大地は教室全体を見渡した。
「あれ? 灰次たちは?」
ちょうど大地の席は、教室の真ん中にある。
紫音と青空の席を合わせても、席が3つ余っていた。
「ああ。音楽室だよ」
「音楽室?」
大地の頭に?が浮かんだ。
「いつものこれ」
青空の細い指がしなやかに動く。ピアノを弾く真似をした。
「行こうぜ」
大地のその一言に本に栞を挟んだ紫音と暇を持て余していた青空も、4階の音楽室に付いて行った。
1階から4階へ上る。とてつもない距離だった。上る度にすれ違う生徒が、大地たちを憎らしい顔で睨めつけていた。
4階に近付くと、美しい旋律が空気のように、流れてくる。階段を一段一段と上がるにつれて、旋律がはっきりと、聞こえてきた。
大地たちは、何かを確信して階段を上るスピードをあげる。
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