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6
ドアノブに手を掛けて回すと、それを力強く押した。音楽室のドアを開く。
「うらら……」
大地たちは音色の美しさに、ただ呆然と立ち尽くしていた。
鍵盤から、さっきまで音楽を奏でていた指が離れる。
「……どうしたの?」
少女はにっこり笑う。
栗色のショートヘアが太陽に照らされ、綺麗に輝いていた。
彼女はテレパシー(精神感応能力者)の生田うららである。左目の色は一つの色では無く、角度によって変わるため、何色とは判断が出来なかった。
彼女が奏でる調べは、繊細で耳に入ると、音が血のように体全体に伝わり、心臓が鼓動する。
それは音楽ではなく、一つの魂のようだった。
彼女に音色に聞きほれていたのは、大地だけではない。
少し離れたところに、椅子を二つ並べて、座っている二人がいた。
「上手いよ。うらら」
「うん」
プレコグ(予知能力者)の青山七海は、うららに拍手を送る。彼女の左目は青空より、少し水色に近い青だった。七海に遅れて、右目が灰色でテレポーター(瞬間移動能力者)の陽田灰次も、拍手をした。
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