第2話:王都に向かって

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「って、七曜属性が全部出てるぅ!?」 クリスは驚愕に叫んだ。 普通、エレメントというのは在っても一つから三つ。 余程の才能が在っても、四つ在れば良い方だと云われている。 七曜属性の全てを持っている者など、有史以来居なかった。 それなのに、シーナは七曜属性の全てを顕現させる事に成功している。 「あ、あり得ません!」 あんぐりと口を開け、惚けてしまっているクリス。 「フゥ……」 力を発散させたシーナは、薄らと汗を掻いていた。 「う……」 「? どうしたの、ユート」 シーナはまだ幼い容姿であるにも拘らず、何処か妖艶で大人っぽい雰囲気を醸し出す事がある。 現年齢は13歳だが、前世の記憶を持っているユートの心は、三十路過ぎの精神が残っており、ああいう姿を見る度にリビドーを刺激された。 しかし、アーメット村を出る前夜のシーナを見ると、下手に男の欲望というモノは見せない方がいいと感じている。 だから、ユートは冷や汗を掻きながら苦笑した。 「コホン。あのさ、シーナのアレってアーシァから貰った力なのか?」 クリスに聞かれない様に、こっそりと訊ねてみた。 「失敬な! アレは天然モノなんだから」 .
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