3883人が本棚に入れています
本棚に追加
/288ページ
「何かあったのか?」
「どうもね、街道沿いに盗賊が出始めたらしくて」
シーナは、ユートの問いに憂鬱そうに答える。
しかも出たのが王都側の街道で、可成の人数で暴れていると云う。
その為、ユート達が通った街道からオスアリアに入る事は出来ても、王都へと抜け出る事が出来ない。
事態としては、困った事になっていた。
「騎士団は何をしているんですか?」
「騎士団は間の悪い事に、天魔側の大陸に出兵中……って言うか多分、だからこそ盗賊が好き放題闊歩してるんだろうね」
「最悪だな……」
クリスの質問への答えは、確かに最悪な状況。
ユートは頭を抱える。
「っ! そうだ、俺達で倒すってのは?」
「無理だよ。よしんば出来たとしても、皆殺しにするしかない」
実力がある訳でもなく、人数も居ない状態では殺さない様にするのは難しい。
シーナとしては、オークの時みたいな虐殺を人間相手にして欲しくはなかった。
「アレ(戦姫の力)なら?」
クリスが居るからか、濁して言ったが、シーナは理解して首を横に振る。
「ダメ、確かに峰打ちに出来るけど、戦闘中に倒れたら拙い。リスクが高いよ」
オークの時よりも相手が多い為、途中で倒れる可能性がある。
.
最初のコメントを投稿しよう!