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「それじゃ、待っていて下さい。 何とかして来ますから」
クリスは階下へと降りていき、ポツンと2人は取り残された。
ユートもシーナも顔を互いに見合わせると、目をパチパチと瞬かせる。
「クリス、どうしたのかな?」
「いや、俺に聞かれても」
取り敢えず、黙って待っている事にした。
暫らく待っていると、再び部屋にクリスが戻ってきて言う。
「許可は取ったから、盗賊退治に行きましょう」
「「へ?」」
クリスの突拍子もない発言を聞いて、思わず間抜けた声を上げる。
クリスの瞳には、気負いも無ければ驕りも無い。
ただ、真っ直ぐにユート達を見据えていた。
3人は宿屋を出て、北の門を開けて貰う。
王都へと続く道と、山間道へと向かう道。
ユート達が向かうのは、盗賊共のアジトが存在するだろう山間道を抜けた先。
山の中腹の何処かに在る筈の洞窟だった。
本来なら山の幸豊かな山として重宝されていたが、最近になってその洞窟に盗賊が住み着く様になってしまう。
下手に山に入れば盗賊に襲われるだろうし、盗賊も山から降りて来ては旅行者や商人を襲っている。
その為、オスアリアの北門を閉ざしてしまうしか無かった。
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